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2010年小正月 その2 [年末年始]

前の記事に引き続き、小正月の話題を書きます。
前の記事では、私の氏神様の社中について書きましたが、この地域ではもっと変わった小正月の行事があります。それらを画像とともに紹介します。

同じ市内でも、神社の社中が変われば、いろいろと違ってきます。

まずは、新屋(あらや)地区の御神木です。

普段は目立たない道祖神も、この時ばかりは人目を引かんとばかりに満艦飾となった御神木が立ちます。

これで驚いてはいけません。小明見(こあすみ)の向原(むかいばら)地区の御神木は、遠くから見ても分かるほど大きいです。

夕方の撮影だったので思いっきり逆光になり、奥にある道祖神が真っ暗になってしました。実物はこのくらいの大きさです。

御神木の真ん中には、先程と同じく、バケツやほうきなどが吊されています。


2010年追記
この近所にある別の道祖神の写真を追加しました。

次にお隣、大明見(おおあすみ)地区の御神木です。

御神木には、神社の御札が巻き付けられています。雨に濡れないようにビニール袋に入れられています。


さて、この記事で今までに御神木の画像を貼った地区には、この地区だけの変わった小正月行事があります。
それが「オカタブチコ」(または「オカタブチコウ」)です。
「オカタブチコ」とは、女の人の名前ではなく(初めて耳にする人はそう思っているみたいですが)、漢字で書けば「御方打講」です(多分)。
何をするのかと言いますと、小正月の夜に、この地域で過去一年間に結婚した新婚家庭へ、着物姿に「おかめ」や「ひょっとこ」、「天狗」等のお面を被った人(明見では子供=中学生、新屋では大人)が数人やって来て、新婚夫婦に「御祝儀をせびる」のです。
新婚夫婦は御祝儀を渡すのですが、その人達は中身を見るとお盆ごとひっくり返し、持ってきた竹や桧・杉の枝で床を叩いて、言葉こそ発しませんが「もっと御祝儀を出せ」と要求します。それを繰り返し、一定の額になると、厄除けの御札一枚だけを置いて次の新婚家庭へ向かうというものです。
勿論、散らかし放題に散らかした部屋はそのままで、それを片付けるのは新婚夫婦の役目です。また、舅や姑、伯叔父母等もその場に居合わせますが、ただ笑っているだけで自分の子供が困っている様子を楽しんでいる感じさえします(自分もかつて同じことを経験していますからね)。
また、御祝儀の金額も5万円なら5万円と、一応御決まっているみたいですが、お盆をひっくり返される数が多ければ多いほどいいということみたいなので、小刻みに御祝儀を出すという「駆け引き」もあるみたいです。そうでなく「青天井」だったら、私ならキレて「てめえ、人んちのことだと思いやがって」とマジでケンカしているかも知れません。何しろ、この不景気の中で高いお金を御祝儀で出しても、引き替えにもらうのは御札一枚だけですし、そのお金が何に使われるのか「使途不明」ですから。
困ったことに(?)、この様子を毎年、地元のケーブルテレビ(CATV)局が取材に来るのです。さらには、NHKの山梨ローカルニュースに「山梨県内各地の小正月」として提供されることもあります。富士吉田市は電波事情が悪く、市内のほぼ全世帯がこのCATVに加入していますので、ある意味「さらし者」みたいな感じです。テレビで放送される映像には当然、著作権がありますし、対象者も公の存在ではないので、画像はありません。文章だけで御想像下さい。ついでに書きますと、市内の家の屋根には「アンテナ」がありません。
私は、馬鹿馬鹿しく思えたので最近では見ていませんが、この記事を書いている時点でも、どこかの家でこんな事が行われているはずです。
これに、ウチの社中である「祭典世話人」までやっていたら、それだけで目がまわりそうです。
まあ、狭い社会のことだからと言えばそれまでですが。
この他にも「なくなって欲しいこの地域だけの風習」もありますが、それは別の機会に書きます。

小正月に御神木を立てるのは市内だけではありません。最高気温が0度あるかどうかの寒さの中、他の地域にも取材に行ってきました。
まずは、富士河口湖町の浅川(あざがわ)地区の御神木です。これ以降に画像を貼る地域も含めたこの地域では、厄年だけでなく古希や喜寿等にあたる人もいろいろと金品を寄付をしています。


次に河口(かわぐち)地区の御神木です。てっぺんの白い紙は、小学生の書き初めです。

大石地区の御神木です。遠くからもかなり目立ちます。何しろ、この隣にある火の見櫓よりも高いのですから…。
30年くらい前にも行ったことがあるのですが、その時はもっと派手でした。

勝山地区の御神木です。

ところが、富士吉田を挟んで向こう側の忍野(おしの)村は、これよりもっとスゴイと言いますか、ど派手です。
まずは忍草(しぼくさ)地区です。飾りに囲まれて道祖神が全く見えません。

この道祖神と道を挟んだ反対側には御神木が立っています。竹に色とりどりの紙を飾り付けているので、まるで七夕みたいです。

このカーブを抜けた先にも、また別の道祖神があります。

この地区にも、火の見櫓よりも高い御神木(しかも、1本ではなく6本も[exclamation×2])を立てている道祖神があります。
これらの飾りを7月に神奈川県平塚市で行われる「湘南ひらつか七夕祭り」にそのまま持って行っても十分通用しそうな気がします。

同じ忍野村内野地区の御神木です。「忍野」という自治体名は、「忍草」の「忍」と「内野」の「野」を一文字ずつ取って付けられたのです。

2枚目の写真(手前のバイクは私の愛車です)を撮った場所から富士山を撮影しますと、御神木が2本見えます。画面の赤と青の○がそれです。いかに御神木が大きいか分かっていただけると思います。

赤い○の御神木です。

青い○の御神木です。

富士山と一緒に写した写真には写っていませんが、この地区にはもう一本御神木があります。

今までに画像を貼った御神木にある飾りをどうするかですが、色とりどりの御幣は、各家庭に配られます。
その他、バケツ等と一緒に吊り下げられている三角の布ですが、あれは「ヒイチ」と言い、「火打ち(袋)」が訛ったものと思います。これは火除けのお守りとして、各家庭の玄関に一年間吊されます。

これらの写真を撮る時には、もう、手がかじかんでいまして、やっとの思いで撮影したものばかりです。ですから、来年はもうこれの取材には出掛けないと思います(笑い)。

以上、この地域の年末年始の行事等を記事にしてみました。


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モッズパンツ

御神木イパーイ撮ってきましたねー。サスガです。バケツとかほうき、面白いですねー。w (^ω^)b

オカタブチコって、押し込み強盗みたいな感じにも思いますがw、面白い風習ですね。ナマハゲとか、こういう古い風習はいつまでも残しておくべきですね。w (´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2010-01-16 00:40) 

Loby

まるで正月過ぎの和製クリスマスツリーみたいにカラフルで楽しそうな御神木ですね^^
「オカタブチコ」の伝統、興味深いです。
しかし...ご祝儀に五万円とは (ーー;)
それに使途も不明では...
この不景気の最中に有難迷惑な人もいるのでは、というのが正直な気持ちです...
ご祝儀がお酒一瓶とか肴とかに変われば負担も軽くなるでしょうけどね。

by Loby (2010-01-16 20:25) 

moonrabbit

外人さんが見たら何の祭り(儀式)かと思うでしょうね。
オカタブチコは・・・難しいなぁ。。。(^^;
当たり前として受け入れている家庭には「アリ」でしょうけれど、
認識のない家庭では「ナシ」でしょうね。
事前に来るって話は通してあるのでしょうけれど。
嫌だったら出かけちゃえばいいのかな???(笑)
by moonrabbit (2010-01-17 23:44) 

旅爺さん

アドバイス有難う、続きを読むを入れないとどんどん前記事を読んでいただける利点があります、そのため文字も少なくして見やすくしてるんです。
こちらは随分長い記事ですね、
地域によって祭りにも色んな風習がありますね。
by 旅爺さん (2010-01-20 20:02) 

北海道大好き人間

>モッズパンツさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

忍野と富士河口湖の御神木は結構有名なことは知っていましたが、これほどたくさんあるとは思いもしませんでした。

オカタブチコは、迷惑な方が大きいでしょうけれど、残すか否かは、その地域の人が決めることです。如何せん「閉ざされた世界」なので、結局は残るでしょう。
by 北海道大好き人間 (2010-01-20 20:55) 

北海道大好き人間

>くらいふさん
>xml_xslさん
>JJさん
>kaika-tさん
>ばぁどちっくさん
>ナカムラさん
>ケイさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2010-01-20 20:58) 

北海道大好き人間

>Lobyさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

このカラフルな紙(御幣に使っている紙)はカラーケント紙だと思います。違う色の紙を重ねて作っているのだと思います。
紙テープや花を作る紙等も地元の文具店に注文するのでしょうけれど結構な量になります。
ヒイチの布は、近くの洋品店に「ヒイチ用の布あります」などと貼り紙がありますが、おそらく多くが端切れ布だと思います。

オカタブチコで集めたお金はおそらく、大人の飲食代に消えるでしょう。もっとひどい場合には旅行費用に使われるのだとか!!しかも、温泉等でコンパニオンを1対1で呼ぶとかするみたいです。これは、消防出初め式の寄付でも当てはまるみたいです。
by 北海道大好き人間 (2010-01-20 21:06) 

北海道大好き人間

>moonrabbitさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

>外人さんが見たら何の祭り(儀式)かと思うでしょうね。
立場を変えて、日本人から見れば、その国(地域)の人にとっては当たり前の行事も不思議に見えますね。

>嫌だったら出かけちゃえばいいのかな???(笑)
狭い田舎社会ですから、それはムリでしょう。
でも、成田離婚したとか喪中だとか、できちゃった婚で嫁さんが出産のため不在とか、新婚の1年間は余所に住んでいてそれから引っ越してきたとか、いろいろとオカタブチコから逃れられそうな条件はありますね。
by 北海道大好き人間 (2010-01-20 21:11) 

北海道大好き人間

>旅爺さん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

私の場合、写真をたくさん貼ることが多いので、「続きを読む」で切ってしまった方が見やすいのです。
それに、後半に結論やオチを持って行くので、読者に興味を持たせる意味もあります。
by 北海道大好き人間 (2010-01-20 21:14) 

北海道大好き人間

>optimistさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2010-01-21 16:55) 

旅爺さん

部長昇進試験の論文は皆7ページ位書いてきます。
しかし装飾語などを省いて一ページで仕上げた人が部長になりました。伝えたいことを如何に短い分で伝えるかだと思います。私も写真は平均12枚と多いです。その分文字は少なくして見易くしています。最後に落ちも入れますよ。
ブログ仲間が渡り歩くのに楽で早いかと思います。
いずれにしても難しい事ですね。お互い頑張りましょう。
by 旅爺さん (2010-01-23 09:06) 

北海道大好き人間

>旅爺さん

私の場合、画像で伝えきれない部分を長文で「解説」する傾向(最近では、初詣の急な石段の写真等)がありますからねえ、難しいものです。
一つの記事で画像が多すぎる場合には、別記事にする形もとっていますが。
by 北海道大好き人間 (2010-01-23 22:22) 

旅爺さん

今日の爺の記事は短いです。
最後にユーモアも入れてみました。
by 旅爺さん (2010-01-24 10:08) 

北海道大好き人間

>旅爺さん

記事読んできました。ああいうきれいな夕焼けに出会えて良かったですね。
by 北海道大好き人間 (2010-01-24 12:12) 

北海道大好き人間

>hrdさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2010-01-27 20:38) 

北海道大好き人間

>あんず-M さん
nice! どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2011-01-26 00:44) 

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