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我が家の「夏」の終わり (すすき祭り編) [お祭り]

吉田の火祭りの翌日である27日には、御旅所に安置された御輿が市内を練り歩いた後、神社へ戻るお祭りが行われます。
以前は特に名前はなかったのですが、神社へ戻る時に手に「すすき」を持って御輿を追いかけることから「すすき祭り」という名称が名付けられました。

余所から来る人にとっては、「火祭り」だけが目的の人が殆どですが、地元(この神社の社中)に住む人にとっては、すすき祭りが「本祭り」で、火祭りは「前夜祭」にあたります。
ですが、神社にある祭礼予定表には、25日に「鎮火大祭(吉田の火祭りの正式名称)前日祭」という表記が見られます。おまけに28日が後日祭です。

神社の入口の鳥居や駅前には、すすきで出来た「すすき松明」もお目見えします。

アップで撮影した画像です。こちらも松明と同じく、縄で縛る際に上から三重・五重・七重に巻かれている箇所があります。なお、これらは、木で作られた「枠」にすすきを飾り付けます。

駅ビルには、これのミニチュア版もあります。

当日は、お昼頃から御輿を担ぐ人(勢子=せこ)が徐々に御旅所に集まります。そして、3:00過ぎに御旅所で「発輿祭(はっこうさい)」が行われ、御輿は一路、金鳥居を目指します。
そこで神事が行われた後、御影は駅前へ、明神は社中の境まで行きます。そして、金鳥居で合流後、所々で休憩(その時に御影は3回地面へたたきつけられる)しながら神社へ戻ります。
途中、馬の鞍の形をした石(御鞍=みくら石)に明神を置いて神事が行われます。
そして神社へ戻ると、境内にある高天原(たかまがはら)を明神は7周、御影は3周して諏訪神社に戻され、御魂も元の神社に戻されて一連の行事が全て終わります。
私は宿泊客の夕食を出さなければならなかったので撮影していませんが、この頃の神社の熱気は最高潮です。

宿泊客の夕食や翌朝の準備が終わってから誰もいない神社へ行ってきました。
前にも書いた様にここへは毎日お参りに行っているのですが、火祭りの日は必ず朝のうちに、すすき祭りの日には祭りが終わった夜に行きます。御魂が抜けてしまった「空御宮(からおみや)」に行っても何の意味もないからです。
諏訪神社に戻された2基の御輿です。

高天原に供えられた、参拝者が持っていたすすきです。毎年これを見ると「(夏が)終わったなあ」と思います。前日、松明が燃えていた国道は、前にも書いた様にキレイに清掃されていて何事もなかったかの様に静かです。歩道にあるこぼしたジュースやビール、アイスクリーム等の染みや僅かに残った敷き砂等が昨日ここで火祭りがあったことを物語っていますが、二雨程降れば流されて消えてしまいます。

さらに、本邦初公開、御影の内部です。御旅所等に安置されていなくて御魂が抜けているこの日のみ、撮影できます。見ての通り、金具をたくさん用いて頑丈に補強されています。

2010年7月10日追記
上の写真を追加しました。


今年度の大松明の奉納者名です。昔は、最下段の半分くらいまで奉納者があったのですが、ここ2,3年は景気の悪化で奉納者数も減っています。


さて、上の写真で最下段に(個人が特定出来ない様に苗字は消してあります)人名が14名分あるのですが、その人が今年度の「祭典世話人(または世話係、祭司=さいじとも言う)」です。
祭り当日は、「鎮火大祭」と染め抜かれた手拭いを鉢巻にしてお揃いの浴衣(毎年違う色や柄。左袖は脱いでいて、下にはダボシャツ。裾もたくし上げていて、下にはショート丈のランニングパンツと白の地下足袋と草鞋=履かずに腰に飾り付けることもある)を着て、世話人だけが持てる提灯(下の写真を参照して下さい)を左手に持っています。
それ以外の日には、紫色の法被を着て寄付を集めたり、いろいろな準備をしたりします。火祭りの準備をする時には法被では動きにくくて暑いので、お揃いのTシャツを作りそれを着ることもあります。
 

この世話人は、上町(上の写真で右側)から4人、中町(同真ん中)から4人、下町(同左側)から6人が選出されます。提灯に大きく書かれている「吉」の下が、「上」「中」「下」を図案化しているのが分かるでしょうか?

対象者は、氏子社中に住んでいる男性で
1.持ち家に住んでいる(最近では、近隣町村に住んでいても持ち家に住んでいれば選ばれることがあります)
2.大厄前である
3.結婚している
4.過去一年以内に身内に不幸がない(世話人に選ばれても、任期中に身内で不幸があればその時点でお役ご免)
が条件となります。

世話人は、火祭りに関する一切の業務を負います。
仕事の内容も、御旅所の設営や松明の配置、寄付金の集金や点火用ヤニ木の準備、勢子に配る手拭いと草鞋の準備やそれらに振る舞う飲食物の手配等、挙げたらキリがありません。
これ以外にも、2月の節分祭や5月の例大祭(今年は雨で撮影できませんでしたので、来年以降撮影したいと思います)についても一切を取り仕切ります。
それらを皆、寄付で集めた多額の現金で決済するので、社会的責任がある妻帯者でないと世話人は任せられないのです。まあ、妻帯者でも無責任な人はいますし、逆に独身でも責任感の強い人はいますけれども。
そして世話人が終わった後も、同じ苦労をした仲間(すすき祭りが終わって勢子を送り出す時、感極まって男泣きする世話人も結構います)として翌年以降の火祭りで世話人を手伝ったりアドバイスをしながら関わっていきます。ですから、「ヨコ」だけでなく「タテ」の繋がりも強いのが世話人の特徴です。
御旅所にあった紅白幕や水引幕、提灯等は、過去の世話人が寄贈した物が殆どで、(写真にも写っていますが)その何処かに「昭和(平成)○○年度祭典世話係」として14人の名前が記されています。

さて私の場合、最も重要な条件である3.を満たさないまま(現在もですが…[がく~(落胆した顔)])後厄である今年を迎えましたので、この先結婚したとしても、絶対に世話人を任せられる(押しつけられる)ことはありません。
ですが、私は屋号を背負っていてただでさえ目立つ上に、歴代の世話人には同級生は勿論のこと、母校の先輩や後輩が一杯なっているので目をつけられていました。
そんなわけで、寄付を集めに来たりする度に「次はお前(の番)だぞ」と言われてきましたが、ついにそれは果たせずじまいでした。
仮に引き受けたとしても、5月の例大祭(5月5日)はGWで書き入れ時ですし、この火祭りの準備期間も夏休み中で合宿等があってとても忙しいのです。
ましてや、ウチは家族だけで経営していて他人を雇っていないので、私が欠けてしまうと本業は完全にストップしてしまいます。
過去に、同級生が私が結婚しているのかどうか調べもせずに何故か世話人の話を持ってきたことがありましたが、両親がこの理由で断っていたのを物陰で見ていました。ここで「未婚だから」という理由で断ると、「結婚したら引き受けてもいい」という具合に受け取られてしまいます。
「当日は勿論、準備も一切手伝わず名前だけ出してくれればいい」とか「休業補償を出す」という条件ならば考えてもいいですが…。

そういう「後ろめたさ」もあるので、火祭りや例大祭で世話人(今後は後輩ばかりになりますが)やそのOB団体である青年会がいる場所には極力近付かない様にし、写真も遠くから望遠で撮影しています。
「世話人を引き受けて初めて一人前」という、今となっては時代遅れ的な考えが蔓延っている中「あいつは地元にいながら、とうとう世話人を引き受けなかった」と言われたくないですから…。
ですから、火祭りで御輿は一度も担いだ(担がせてもらった)ことはありませんし、今後も担ぐことはないでしょう。

こうして、長い様で短く、短い様で長かった我が家の「夏」が終わりました。


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北海道大好き人間

>yuki999さん
初めまして。nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-09-01 12:32) 

旅爺さん

参拝者はやはり目で楽しめる火祭りの方が嬉しいんでしょうね。風習やしきたりもまだまだ残ってますね。
by 旅爺さん (2009-09-01 13:21) 

北海道大好き人間

>旅爺さん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

毎年変わるポスターをみても、完全に火祭りがメインで、すすき祭りはローカル扱いです。
それどころか、26日にも御輿をたたきつけるのですが、多くの観光客は御輿が御旅所に安置された「夜」のお祭りしか知らないでしょうね。

風習やしきたりは、何処でもそうですが、そう簡単に変わらない(変えられない)と思います。
by 北海道大好き人間 (2009-09-01 16:58) 

モッズパンツ

う~ん、やはり生まれ育った地元で生きていくには、イロイロなしがらみなんてものがあったりして、けっこう大変なんですね。頑張って下さいね。w (^ω^)b
そういえば、毎日参拝している神社は、こちらの神社なのですか。普段はきっと鳥居を入ったら時間的に真っ暗ですよね。毎日のことですから慣れているとは思いますが、恐くありませんか? (ノ∀`)アチャー

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2009-09-01 22:57) 

北海道大好き人間

>モッズパンツさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

>イロイロなしがらみなんてものがあったりして、けっこう大変なんですね。
そうなんです。先に書いた選挙もそうです。もっとも選挙では「面従腹背」ということも出来ますが。

最近は昼間にお参りへ行くことが多いですが、夜にお参りする場合でも、鳥居をくぐってから本殿までは所々に水銀灯がありますし、結構明るいです。怖いと言えば、その時間帯に火事が発生して消防車が行き来する時ですね。
なお、御魂を本の本殿へ戻す時には、全ての照明を落として、提灯の明かりだけで行います。
by 北海道大好き人間 (2009-09-02 19:45) 

北海道大好き人間

>JJさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-09-02 19:46) 

北海道大好き人間

>モッズパンツさん

追記。
この晩に限り、参道にある石灯籠にろうそくが点されます。
誰もいない参道にずっとオレンジ色の点が連なるので、幻想的ですよ。
by 北海道大好き人間 (2009-09-02 20:42) 

北海道大好き人間

>HAZUMIさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-09-03 19:57) 

北海道大好き人間

>raraさん
nice!どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2009-09-03 20:00) 

moonrabbit

参加することも大切ですが、奉る心も大切ですよね。(^^
by moonrabbit (2009-09-04 06:24) 

北海道大好き人間

>moonrabbitさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

実際のところ、世話人経験者は大きな影響力をその後も維持し続ける上に、毎年新しい経験者が加わっていきますから、私みたいな人間は遠巻きに見るしかないのです。
まあ、御輿を担ぐのに夢中になってしまうと、その日の仕事は全く出来なくなってしまいますが。
by 北海道大好き人間 (2009-09-04 12:35) 

ケイ

お久しぶりです。
by ケイ (2009-09-04 15:48) 

北海道大好き人間

>ケイさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

出口調査のアルバイト体験記、お待ちしております。
by 北海道大好き人間 (2009-09-04 20:06) 

北海道大好き人間

>delfinさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-09-07 19:19) 

北海道大好き人間

>hrdさん
nice!どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2009-09-07 19:20) 

北海道大好き人間

>xml_xslさん
nice!どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2009-09-07 19:22) 

北海道大好き人間

>ムネタロウさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-09-18 11:03) 

北海道大好き人間

>くらいふさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-09-26 21:51) 

北海道大好き人間

>ロスさん
nice!どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2010-10-20 21:38) 

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