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日食について(2012年5月21日と2030年6月1日の金環日食編 その1) [日食・月食]

昨日までにPC以外の作業が一段落しましたので、ここから更新します。
今日はちょこっと忙しかったので、巡回やコメント、返答は明日以降に行います。
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さて、来年5月21日の金環日食まで1年を切りました。「復帰第一弾」の記事は、それから始めたいと思います。

なお、これも含めた関連記事では、いろいろと専門用語が出てきますが、それらについては日食について はじめにを御覧下さい。

今回の金環日食は、日食について (2009年 トカラ列島皆既日食編 その3 実地観測絶望編)の最後でも触れていますが、朝の7:30頃に非常に広範囲で観測されます。
その範囲は、下の画像にあるとおりです(画像は北海道大学情報基盤センター作成)。
この画像の元のリンク
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp2/2012jp.html
2012-05-21-2.jpg
それでもって、これから1サロス周期後の2030年6月1日(土曜日)夕方5:00前には、今度は北海道の広範囲で同じタイプの金環日食が観測されます(こちらの画像も北海道大学情報基盤センター作成)。
この画像の元のリンク
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp2/2030jp.html
2030-06-01-2.jpg
この両者に引かれている中心食帯を示す線は、「直線」ではなく、非常に緩やかな曲線になっています。印刷して定規を当ててみますとそれがわかります。
ある程度日食に詳しい人ならば、この両者が同じサロス系統(128=NASAのHPへリンクしています)に属することはすぐにわかるのですが、一般の方にこれを説明するのは難しいです。
なにしろ、中心食帯の通り方が全く違っていますので、仮に日本列島の白地図にそれを書かせるとなると、多くの人が、北海道の方で間違えると思います。
過去の記事で、3サロス(54年と1ヶ月強)前と後には、ほぼ同じ経度の範囲で似た様な日食が観測されることは書きましたが、それらをまとめた図表が北海道大学のサイトにあります。
上が2012年、下が2030年の日食が属する3サロス周期ごとの中心線が通過する様子です。
SAROS 128-1.jpg

SAROS 128-2.jpg

この両者の地球全体における図面がこちらです(以下に貼り付けてある画像&GIFアニメーションはNASAの提供)。上が2012年、下が2030年です。
SE2012May20A.gif

SE2030Jun01A.gif
日本列島が、普段天気図や地図等で見るのと違う傾き方をしているので、混乱しやすいのです。

さらに、この両者において、地球上に投影される月の影が動く様子を表したGIFアニメーションがこちらです。赤い点が通過する地域で金環日食が観測されます。
SE2012May20A animaition.gif

SE2030Jun01A animation.gif
細かいところでは、北側の部分で月の半影(地球上で部分日食が観測される場所)が投影される範囲が2030年の方では狭くなっていますが、月の影全体の動き方はほぼ一致していることがお分かりいただけると思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ところで、何故来年ばかりでなく19年も先の北海道金環日食まで触れるのかと言いますと、狭い日本国内に於いて2サロス連続で同一系統の中心食を欠け始めから欠け終わりまで全て観測できる極めて希な例だからなのです。
来年の春に発売される天文雑誌で果たしてどのくらいこのことのついて触れるのかわかりませんが、それ以外のメディアでも「次に日本で金環日食が観測されるのは2030年6月1日に北海道で」程度で終わってしまうでしょう。

http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/ecl20c.html#C0
のリンクには、1世紀から30世紀までの3000年間に日本及びその周辺で観測される(された)日食の概要が世紀別にまとめられていますが、日出帯食や日没帯食にかかったり本土に限らず日本国内(領海内)まで範囲を広げても
金環日食では
31年5月10日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN31%20_%205_10.html

49年5月20日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN49%20_%205_20.html
(サロス 77=後者は中心食帯が日本列島に達する前に日没)

1003年8月1日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN1003_%207_31.html

1021年8月11日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN1021_%208_11.html
(サロス 100=両者とも金環皆既日食で、前者は日本では金環日食、後者は皆既日食)

1412年8月8日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN1412_%208_%207.html

1430年8月19日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN1430_%208_19.html
(サロス 116

1712年7月4日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN1712_%207_%203.html

1730年7月15日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN1730_%207_15.html
(サロス 122

2269年7月30日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2269_%207_29.html

2287年8月10日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2287_%208_10.html
(サロス 140

2538年8月26日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2538_%208_25.html

2556年9月5日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2556_%209_%205.html
(サロス 163

2838年7月13日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2838_%207_12.html

2856年7月23日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2856_%207_23.html
(サロス 169

2914年6月15日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2914_%206_14.html

2932年6月25日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/AN2932_%206_25.html
(サロス 171

ですが、今回のケースに準じるのは、最後に挙げた2914年と2932年(サロス 171)の組み合わせくらいです。
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一方、皆既日食では
1097年7月12日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1097_%207_11.html

1115年7月23日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1115_%207_23.html
(サロス 102

1397年5月27日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1397_%205_26.html

1415年6月7日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1415_%206_%207.html
(サロス 108

1442年7月8日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1442_%207_%207.html

1460年7月18日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1460_%207_18.html
(サロス 127

1524年7月31日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1524_%207_30.html

1542年8月11日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1542_%208_11.html
(サロス 118=6月2日早朝に日本の一部で観測される部分日食の系統)

1742年6月3日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1742_%206_%202.html

1760年6月13日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1760_%206_13.html
(サロス 133=来年の11月14日(現地時間)にオーストラリア北東部から東の南太平洋で観測される皆既日食が属するサロス=但し、1760年は日没帯食(戻))

1824年6月27日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1824_%206_26.html

1842年7月8日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1842_%207_%208.html
(サロス 124

1918年6月9日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1918_%206_%208.html

1936年6月19日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO1936_%206_19.html
(サロス 126

2263年6月7日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO2263_%206_%206.html

2281年6月17日
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/jp3000/TO2281_%206_17.html
(サロス 151日食について(2011年1月4日の部分日食編)で触れたサロスが成長すると見られる日食)

くらいです(サロスの数字には、そのサロスのページへのリンクが貼ってあります)。
上のサロスへのリンクや北大のリンクを御覧いただければわかりますが、今回の組み合わせは、これ以上にない条件が整っていますので、是非とも晴れて欲しいですし、観察していただきたいものです。

今回の金環日食については、1年という時間がありますので(だからといって油断していて直前になって慌てて書き込みそうな気もしますが)より詳しい記事を書こうと思っています。


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リック

お疲れ様でした、完全復帰ですね^^
しかし、さすがに詳しいですね、こういう知識の豊富さには脱帽します、一年後だと忘れそうですが、近づくとマスコミが騒ぐのでしょうね、朝なら天気が良ければ見れそうですね、楽しみです^^
by リック (2011-05-23 04:45) 

旅爺さん

おはよう御座いま~す♪。
だいぶ詳しく調べられましたね。
2030年・・・・爺はその頃千の風になって空を舞い飛んでるでしょう。
by 旅爺さん (2011-05-23 06:43) 

TAKUMA

金環食、楽しみですねぇ。
東京で見れなかったら北海道ですね!
by TAKUMA (2011-05-23 11:39) 

optimist

いよいよ1年を切りましたね。
来年は金星の太陽面通過も見られるし、太陽眼鏡が活躍しそうです。
北海道大好き人間 さん程詳しくは書けませんが、来月になったら、私も取り上げてみようと思います。
by optimist (2011-05-23 22:40) 

北海道大好き人間

>リックさん
nice! とコメント、どうも有難うございます。

>近づくとマスコミが騒ぐのでしょうね
2009年の「トカラ列島皆既日食」みたいに、直前になって日食メガネとかが売り切れにならない様に、早い段階から告知しておいてもいいと思います。
後で詳しく書きますが、来年の金環日食は、朝の6:00過ぎから欠け始めます。終わるのがだいたい9:00ですから、後は雨が降っても構いませんから晴れて欲しいです。

by 北海道大好き人間 (2011-05-23 23:21) 

北海道大好き人間

>旅爺さん さん
nice! とコメント、どうも有難うございます。

2サロス連続セットは、北大のサイトから調べる場合、18年と10日後を追って、日付の右の欄に○が複数あればほぼ該当します。
2030年も北海道まで行って見られる様に長生きして下さい。

by 北海道大好き人間 (2011-05-23 23:25) 

北海道大好き人間

>TAKUMAさん
nice! とコメント、どうも有難うございます。

私の自宅でも5分弱の金環日食が見られるので、非常に楽しみですし、その後の北海道も現地まで行くつもりです。

by 北海道大好き人間 (2011-05-23 23:31) 

北海道大好き人間

>Maria さん
nice! どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2011-05-23 23:31) 

北海道大好き人間

>ゆきぽんさん
nice! どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2011-05-23 23:41) 

北海道大好き人間

>optimist さん
nice! とコメント、どうも有難うございます。

金星の日面通過は、その前の金環日食とこの日に見られる部分月食との「谷間」に埋もれてしまいそうな気がしますが、どれも身近な天体ショーですから、観察したいですね。
by 北海道大好き人間 (2011-05-24 00:08) 

HAZUMI

来年ですね、今から楽しみむのがいいのですね。
by HAZUMI (2011-05-24 14:48) 

北海道大好き人間

>tateichi_m さん
初めまして、nice! どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2011-05-24 17:40) 

北海道大好き人間

>HAZUMI さん
nice! とコメント、どうも有難うございます。

本番までの間、いろいろとサイトを回るだけでも結構楽しいです。
19年後には、お住まいの場所でも同じ様な金環日食が見られるわけですが、それも見に行きたいと思っています。

by 北海道大好き人間 (2011-05-24 17:43) 

北海道大好き人間

>モッズパンツさん
nice! どうも有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2011-06-05 00:11) 

あんず-M

難しくて、わからなかったです。でも、とにかく長生きして2030年の金環日食を見なきゃ!ということだけはわかりました!ありがとうございました。^^)/
by あんず-M (2011-06-10 00:18) 

北海道大好き人間

>あんず-M さん
コメントどうも有難うございます。

そう、日食に限らず、わからない人に説明するということは、とても難しいのです。
2012年と2030年のことについて騒ぎ立てるのは日食に詳しい人ばかりですから。

できたら、来年の金環日食観測ツアーが北海道発で発売されるでしょうから、それに参加するというのもいいかも知れません。
逆に、2030年には、北海道以外の全国から北海道へ向かう金環日食観測ツアーが発売されると思います。いい具合に週末に重なりますし。

by 北海道大好き人間 (2011-06-10 00:59) 

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