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月食について [日食・月食]

あと2週間もしないうちに、新しい年「2010年」を迎えます。
その2010年元日の未明に、全国で部分月食が観測されます。
今回はそのことについて触れます。

この月食については、以下のリンク(別ウインドウでpdfファイルが開きます)を開いて下さい。

http://eclipse.gsfc.nasa.gov/LEplot/LEplot2001/LE2009Dec31P.pdf

このファイルの見方について、要点のみ簡単に説明します。
表題の日付はグリニッジ世界標準時によります。日付が「2009年12月31日」となっているのはそのためです。
4行目にある「Umbral Magnitude」というのが、今回の月食における最大食分です。
今回は7.63%の部分月食になります。1を超えれば皆既月食になります。
中央のイラストについて
「P1」とは、月が地球の半影に入り始めた状態です。
地球から月を見ますと、若干薄暗くなる程度です。
月から見ると、地球による部分日食が始まった状態です。
「U1」とは、月が地球の本影に入り始めた状態です。
地球から月を見ますと、部分月食の始まりです。
月から見ると、地球による皆既日食が始まった状態です。
「U4」とは、月が地球の本影から抜けきった状態です。
地球から月を見ますと、部分月食の終わりですが、まだ半影に入っているので薄暗いままです。
月から見ると、地球による皆既日食が終わった状態です。
「P4」とは、月が地球の半影から抜けきった状態です。
地球から月を見ますと、元の明るい満月に戻ります。
月から見ると、地球による部分日食が終わった状態です。

ここには出てきませんが、皆既月食の場合についても書いておきます。
「U2」とは、月が地球の本影に完全に入り、皆既月食が始まった状態です。
「U3」とは、月が地球の本影から抜け始め、皆既月食が終わった状態です。

Eclipse Contactsについて
表題のところで書いた様に、この時刻はグリニッジ世界標準時です。日本の場合、これに9時間足した時刻に欠け始めたり欠け終わったりします。「24」を超える場合、翌日の午前何時になります。
なお、この時刻は世界何処でも同じでして、時差によって月が出る時なのか空の上なのか、はたまた月が沈む時や地平線の下で月食が見られないか決まります。

地球の図面について
「Eclipse at MoonRise」の時に上に書いた何れかの線にかかっていれば、月が出てきた時に欠け始めだったり皆既月食の始まりだったり終わりだったり欠け終わりだったりします。
一方「Eclipse at MoonSet」の時に上に書いた何れかの線にかかっていれば、月が沈んでいく時に欠け始めだったり皆既月食の始まりだったり終わりだったり欠け終わりだったりします。
「All Eclipse Visible」の地域に入っていれば、そこでは月食の全過程が見られますが、反対に「No Eclipse Visible」の地域に入っていれば、そこでは月食そのものを見ることができません。

まあ、P1とP4については、注意深く観測していないと気付かないので、U1からU4について注目すれば宜しいかと思います。
この部分月食では、元日の午前3時52分43秒に欠け始め、4時52分41秒に終わります。

さて、2010年は、この他に6月26日に最大食分53.68%の部分月食が、12月21日には皆既月食が観測されます。
6月26日の部分月食では、九州・中国・四国地方では月が昇る直前に月食が始まります。
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/LEplot/LEplot2001/LE2010Jun26P.pdf

12月21日の皆既月食では、西日本では皆既状態の月が昇り、東日本では月が欠けながら昇ってきます。
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/LEplot/LEplot2001/LE2010Dec21T.pdf


さて、ここからちょっと話題を変えます。
7月のトカラ列島皆既日食についてですが、下の3つのリンクを比べて下さい。
2010年10月28日追記 画像を追加しました。
SE1990Jul22T.gif
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEplot/SEplot1951/SE1990Jul22T.GIF

SE2009Jul22T.gif
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEplot/SEplot2001/SE2009Jul22T.GIF


SE2028Jul22T.gif
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEplot/SEplot2001/SE2028Jul22T.GIF

この3つの図面において、中心食帯が通る経度の範囲がほぼ同じことに気付かれたでしょうか?
実は、地球から見て太陽が空を通る黄道と月が通る白道の交点(日食や月食が観測される時、両者はこの交点付近にあります)は、ほぼ19年で一回りするのです。
ですから、ある年のある日に日食が観測されれば、その19年前か後(両方の場合もあります)に同じ経度の範囲で日食が観測される可能性が高いです(寿命が尽きたりするサロス系統もありますので「全て」というわけではありません)。
2010年10月28日追記
これを「メトン周期」と言います。

因みに1990年の皆既日食は、去年の8月1日に観測された皆既日食の1サロス前(サロス番号126)であり、2028年の皆既日食は、来年の7月11日に観測される皆既日食の1サロス後(サロス番号146)です。

月食についても同じ様なことがあります。当然、日食と同じく「サロス系統(サロス周期)」も「メトン周期」もキチンと存在しています。
それが2028年12月31日(日本時間では2029年元日)に全国で観測される皆既月食です。
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/LEplot/LEplot2001/LE2028Dec31T.pdf
この皆既月食、この記事の本題である来年元日未明の部分月食から19年後(1メトン周期後)の月食であり、尚かつ12月21日に観測される皆既月食の1サロス後になります。
この皆既月食では、月が地球の本影に入って欠け始めるのは、日本では年が明けてホントにすぐ(0時7分35秒)です。NHKの「ゆく年くる年」の放送の真っ最中に月が欠け始めます(いつも元日の0時15分に終わるので、それが続くと仮定)。ですから、この時には初詣の行列に並びながら月食を観測ということになります。因みに半影に入り始めてから抜け終わるまでの全過程が観測できます。

さて、それから半月後の1月15日には、アフリカ中央部からインド南部を通過し、青島で日没になる今世紀最長の金環日食が観測されます。
SE2010Jan15A.gif
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEplot/SEplot2001/SE2010Jan15A.GIF

《ここから下を12月22日に加筆》
実は、月食(月が地球の半影部分だけを通過する「半影月食」も含めます)が観測される場合、その半月前か後には、必ず地球上のどこかで日食が観測されます。
逆の組み合わせは、ある場合もない場合もありますし、7月22日のトカラ列島皆既日食の半月前と後の満月に続けて半影月食が観測されることもあります。
http://eclipse.gsfc.nasa.gov/lunar.html
その場合、「皆既日食(金環日食)」と「皆既月食」という組み合わせは、北極・南極地方のごく限られた地域での皆既日食・金環日食と皆既月食というのがごく希にある程度です。それも、両者共に最大食分は小さいのが特徴です。
それ以外は「部分日食」と「皆既月食」か「皆既日食(金環日食)」と「部分月食(半影月食)」という組み合わせになります。
参考リンク:黒い太陽にロマンを求めて 「日・月食の力関係 [日食解説]」
それから、月食にも日食と同じ様に「昇交点月食」と「降交点月食」がありますが、日食のそれ以上に複雑で分かりにくいので、ここでは触れません。
多分、月食から半月前か後の日食が昇交点日食であれば月食も昇交点月食で、反対に降交点日食であれば月食も降交点月食ではないかと思います

とにかく、来年年明け早々の月食は、ある意味貴重な月食でもありますので、寒さ対策をして観測しておきたいものです。


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北海道大好き人間

>旅爺さん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-19 17:47) 

北海道大好き人間

>ムネタロウさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-19 17:47) 

北海道大好き人間

>JJさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-19 17:48) 

北海道大好き人間

>yuki999さん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-19 17:48) 

kaika-t

初めまして。^^
元日の午前3時52分……。見るのが大変そうな時間ですが、楽しそうですね。*^^*
by kaika-t (2009-12-19 21:35) 

北海道大好き人間

>kaika-tさん
初めまして。nice!とコメント、どうも有難うございます。

何しろ夜明け前の一番寒い時期ですからねえ。
冬の月食なので、晴れた場合には空気が澄んでいることが救いといえば救いですが。
by 北海道大好き人間 (2009-12-19 22:33) 

optimist

初日の出を見に行く途中で、観察って感じでしょうかね。それでも月食が終ってから日の出まで一時間以上あるから、車でないと辛いか^^;

サウロス周期って端数が1/3日という端数があるから、次に同じよう小な日食は、地球の1/3回転分ずれた位置で起こるって奴ですよね♪
by optimist (2009-12-19 23:37) 

北海道大好き人間

>optimistさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

寒いですが、月食が終わって初日の出が見られるなんてそうはありません。
ただ、ウチは高冷地なので、今の時期は日が暮れると翌日の日の出まで間違いなく氷点下なので、月食が終わって間もなく初日の出みたいなのが理想ではあります。

サロス周期(タイプミスですね)は、そのとおりです。月食でも同じです。
ですから、3回繰り返した54年1ヶ月強すると、また同じ様な場所で同じ様な日食・月食が見られるというわけです。
本文で触れている来年12月21日の皆既月食の1サロス後が2029年元日の皆既月食ですが、観測できる範囲は約120度西へ移動しています。
by 北海道大好き人間 (2009-12-19 23:48) 

モッズパンツ

元日に部分月食が見れるのですね。楽しみですねー。w (^ω^)b
明日早朝、野口さんを乗せたソユーズが打ち上げられます。w (´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2009-12-20 18:20) 

北海道大好き人間

>モッズパンツさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

私事ですが、元日から3日までは、月食を見られようが見られまいが午前5:00に起きなければならないのです。
仮に月食が観測できそうな場合、その前が初詣なので、殆ど徹夜状態になりそうです。

ソユーズの打ち上げについて、とにかく無事であること、次に新たな発見があることを願うばかりです。
by 北海道大好き人間 (2009-12-20 21:56) 

北海道大好き人間

>hrdさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-22 17:38) 

masa

おはようございます!
日の出の前に見れそうですね、
いつも詳しいレポありがとうございます
楽しみが増えます。
by masa (2009-12-24 09:12) 

北海道大好き人間

>ほりけんさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-24 23:56) 

北海道大好き人間

>delfinさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-24 23:57) 

北海道大好き人間

>yabonnjinさん
初めまして。nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-24 23:59) 

北海道大好き人間

>moonrabbitさん
nice!どうも有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-12-25 00:00) 

北海道大好き人間

>masaさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

天気さえよければきれいな月食が見られるのでしょうけれど、モッズパンツさん宛のコメントにもありますが、仕事柄、大晦日の夜から元日未明にかけて徹夜になりそうな気がしそうです。
心配なのは、天気よりもそっちの方です。
by 北海道大好き人間 (2009-12-25 00:04) 

HAZUMI

へえ~~~知らなかった。そうなんだあ~~~
仕事中で、夜空をみれないよ~~~起きてるのに、とほほ。。。
by HAZUMI (2009-12-29 03:06) 

北海道大好き人間

>HAZUMIさん
nice!とコメント、どうも有難うございます。

私はさすがに仕事はないのですが、月食が終わってすぐに仕事なので、前の晩はテレビとかは一切見ないでおこうかと考えています。
それでも、初詣にも行くから、結局は眠れない気がします。
by 北海道大好き人間 (2009-12-29 03:22) 

kaika-t

部分月食、見れました。^^
情報、ありがとうございました。
by kaika-t (2010-01-01 09:17) 

北海道大好き人間

>kaika-tさん

私も、寒さと睡魔と戦いながら見ました。
by 北海道大好き人間 (2010-01-02 00:48) 

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