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峠越えの道(中央自動車道編) [道路・鉄道]

笹子峠を越える交通手段の最後を飾るのは「中央自動車道・笹子トンネル」です。

大月市側から撮影した様子です。

左が下り線(全長4,717m)の入口、右側が上り線(全長4,784m)の入口です。JRも高速道路も、トンネルの入口は「下りの起点側」になります。なので、上り線は「出口から入って入口から出る」ということになります。

この分かりやすかった例が、ここから東京寄りの上り線、大月IC→上野原IC間にある「斧窪トンネル」でした。今は7車線化されていて、かつての上り線のトンネルは下り線の「右ルート」になっていますが、その前は上り線でして「斧窪第3トンネル」→「第2トンネル」→「第1トンネル」という順番でくぐり抜けました。

この写真を撮影した場所からは、普段は施錠されていますが、緊急時には高速道路から直接一般道(国道20号線)へ出られます。上り線の入口から右下に向かっている白い線も、その緊急連絡路のガードレールです。

さて、「笹子トンネル」は、実は正式名称ではありません。
下り線の場合、トンネルに入って少し走ると、一旦外から光が差し込んでシェルターみたいな場所(明かり区間)を走ります。そこまでが「黒野田トンネル」で、明かり区間の先が「笹子トンネル」になるのです。上り線はその逆で、「笹子トンネル」をずっと走ると、明かり区間を走って「黒野田トンネル」を走ることになります。

その「明かり区間」へ行ってきました。道路地図では、さも細いながらも道路が通っている様になっていますが、実際には藪になっていて、車はおろか、人さえも通るのに躊躇します。この時期ですから、蜂やマムシにでも襲われたら助かりません。そんな「決死の覚悟」で撮影した写真がこちらです。トンネルのナトリウム灯が切り替わっているのが分かると思いますが、この地点から下り線は右へ緩やかにカーブして、その後長い直線になります。

一方の上り線は、本線に近寄れませんでしたので、シェルター部分だけ撮影してきました。

この真上(東京側)は、土砂崩れを防ぐための工事も行われています。

旧日本道路公団は、国道20号線からこの区間へ建設資材等を運ぶために、恒久的な橋を2つ架けました。その銘板です。今、そこへ行くのであれば、生い茂った木々を伐採し、路面も整備が必要です。


西側の上り線・甲斐大和バス停から撮影しました。タイミングが合うと、甲府駅発のバスが停車してしまい、乗せられてしまうこともあるので、それが行った後に撮影しました。本当に目の前にトンネルの「出口」なので、迫力があります。

こちら側にも、一般道との緊急連絡路があります。そこから上り線(左)と下り線(右)の出口を撮影しました。

このトンネルを走ったことがある方ならば気付いているかも知れませんが、後ろから追い越しをかける(特に大型)車両が上下に細かくバウンドする様に見えます。これは制限速度が70km/hに設定されているので、それ以上速度を出しにくい様に、ワザと路面を波打たせているのです(ウチに泊まってこの中で工事をした人の話より。先程の「黒野田トンネル」の話もそうです)。

また、東京方面に向かう上り線は、休日の夕方になると、このトンネルの手前で「車線規制」をすることがあります。これは、小仏トンネル付近から始まる大規模な渋滞が笹子トンネル内にまで渋滞が及ぶ可能性があり、長いトンネルの中に長時間いることによりかえって危険度が増してしまうため、あえて車線を規制し、トンネル内に渋滞を発生させない必要があるためです。私はそれを体験したことはないのですが、どんなものなのでしょうね?

さらに、このトンネルの両側では、直前まで「登坂車線」がある等、結構山を登ります。「もっと麓(ふもと)の方でトンネルを掘ればいいのに」と思うかも知れませんが、現在の法律では、全長5,000mを越える山岳トンネルと水底トンネル(全長に下限はありません)では、石油タンクローリー等の「危険物積載車両」が通行できないのです。前者の例は、この中央自動車道で長野県と岐阜県の県境にある「恵那山トンネル」や関越自動車道の「関越トンネル」等です。後者の例は、「首都高速湾岸線の一部区間」や「東京湾アクアライン」、「関門トンネル」等です(この他、東名阪自動車道の引山IC⇔大森ICも、「水底トンネル」のため危険物積載車両は通行禁止)。
以上の理由から、このトンネルの建設にあたっては、全長が5,000mを下回る様に、両側で「距離を稼いでいる」のです。そうでなければ、前の記事で触れた国道20号線の新笹子隧道をタンクローリーが行き交うことになります。なお、現在建設中の「第二東名高速道路」のトンネルも、そういうことを考慮していて全長は5,000m未満です。

2010年追記
水底トンネル等における危険物積載車両の通行禁止又は制限について
http://www.jehdra.go.jp/kikenbutsu.html

この先、これに「リニア中央新幹線」の「新々笹子トンネル(第三笹子トンネル)」が加わるかも知れませんが、おそらく、入口も出口も騒音防止のシェルターで覆われてしまって写真にならないのではないか?と思います。

以上、これだけ急峻な峠を越えるために先人達が苦労した様子を年代順に追ってみました。


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旅爺さん

こんな長いトンネルを昔の人はよく掘りました。
今は円盤見たいのをぐるぐる回して速いスピードで掘っちゃいますね。
by 旅爺さん (2009-06-19 13:36) 

北海道大好き人間

>旅爺さん
nice!とコメント有難うございます。

あの工法は「シールド工法」で、使用する機械は「トンネルマシーン」と言います。トンネルに限らず、最近の地下鉄は殆どがこの工法です。しかも、地盤が軟弱な箇所では穴を掘りながらその場で急速に固まる特殊なコンクリートを流すこともあるようです。一方、固い岩盤にぶつかると、1ヶ月かけても数mしか掘れないということもあるみたいです。
一応、ボーリング等の地質調査を行うのですが、それでも簡単には掘れないのがトンネルの奥深いところとも言えます。
by 北海道大好き人間 (2009-06-19 21:08) 

北海道大好き人間

>nyancoさん
nice!有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-06-19 21:12) 

モッズパンツ

入口と出口、何だか頭がこんがらがっちゃいました。w
探検隊ばりの決死の撮影ご苦労様です。w
最後の写真、要塞みたいですね。すごいなー。w (´∀`)ノ

(^ー^)
by モッズパンツ (2009-06-19 22:55) 

JJ

1972年10月!?
ニアミスで、私と同級生ですね。
まだまだ新しいトンネルですね!(笑)
by JJ (2009-06-20 00:38) 

北海道大好き人間

>モッズパンツさん
nice!とコメント有難うございます。

>入口と出口、何だか頭がこんがらがっちゃいました。
簡単に書きますと、「東京に近い方が入口」です。ただし北陸自動車道は、京都方面が上り線で東京に近い新潟方面が下り線ですので、これが当てはまらないかも知れません。

>探検隊ばりの決死の撮影ご苦労様です。w
ホント、決死でした。これを撮影したのは5月の中旬でしたが、真夏に行ったら凄いことになっています。その他、小規模ながら山から石が転がり落ちていました。
真冬は真冬で、雪が降ってしまったら遭難しそうです。

>最後の写真、要塞みたいですね。すごいなー。
あれはトンネル内の換気施設です。中央道では他に、小仏トンネルや恵那山トンネルにもあります。近くに行きますと、モーターがものすごい音を出して排気ガスを外へ放出しています。
by 北海道大好き人間 (2009-06-20 21:01) 

北海道大好き人間

>JJさん
nice!とコメント有難うございます。

この橋が架かっている地点です。
http://map.yahoo.co.jp/pl?type=scroll&lat=35.60186232&lon=138.81006487&sc=1&mode=map&pointer=on&home=on&hlat=35.59340778&hlon=138.80152389

http://map.yahoo.co.jp/pl?type=scroll&lat=35.60227361&lon=138.81407827&sc=2&mode=map&pointer=on&home=on&hlat=35.59340778&hlon=138.80152389

まず、笹子トンネルの現地測量が行われて、建設ルートが決まります。
それからこの橋を架けてあかり区間へのアクセス道路を建設してからトンネル本体の工事(1975年完成、1977年12月20日供用開始)に取りかかったと推測されます。
by 北海道大好き人間 (2009-06-20 21:13) 

北海道大好き人間

>delfinさん
nice!有難うございます。
by 北海道大好き人間 (2009-06-20 21:14) 

北海道大好き人間

>くらいふさん
nice!有難うございます。

by 北海道大好き人間 (2009-06-22 15:40) 

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